相 続 Q&A5 

遺言の内容と異なる遺産分割の有効性

           

相続についての法律手続やよくあるトラブルや疑問に具体事例を用いてわかりやすく解説します。

遺言の内容(相続分の指定等)に対しては絶対に異議を主張できないのでしょうか?

遺言執行者がいる場合、受遺者がいる場合はどうなるのか?

遺言と異なる遺産分割の有効性についてわかりやすく解説します。

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  Q5

父が死亡しました。
相続人は母(B子)と私(A)と妹(C子)です。
父の遺言には、「遺産は、妻B子が6/8、Aがゼロ、C子が2/8相続するものとする」と記載されていました。
遺言の指定分と異なる相続分にすることはできないのでしょうか?

 

           

A5

遺言で指定された相続分については原則守らなければなりません。

しかし、例外もあります。

Aさんは遺留分の主張をすることもできます

(遺留分については詳しくはQ1をご覧下さい)

Aさんの遺留分の割合は遺産全部の1/8なので遺留分減殺請求権を行使することが可能です。

遺留分とは関係なく相続人全員(B子、A,C子)が合意すれば遺言の内容と異なる分割協議は有効でしょうか?

状況を分けて考える必要があります。

           

1、

相続人以外の者に遺産を与える内容が遺言書にある場合

           

遺言により遺言者の財産を与えることを「遺贈」といいます。

また、遺贈を受ける人のことを「受遺者」といいます。
受遺者は相続人以外の人でもなることができます。

遺言書で例えば「相続財産の1/2は(相続人でない)Dに与える。残りの1/2は、A,B,Cに均等に相続させる」という内容の遺言書があった場合、A,B,Cは例え全員で合意してもDの同意を得ずに遺産全部について遺言の内容と異なる遺産分割を行うことはできません。

Dの同意を得られない場合、相続人A,B,Cは自分の遺留分が侵された場合にのみ、遺留分減殺請求権を行使できますが、それ以外の場合は、「法的に有効な異議」を主張できません。

           

2、

遺言執行者が遺言で指定され、又は家庭裁判所で選任されている場合の遺言書
の内容と異なる遺産分割(相続人以外の者に遺贈しない場合)

           

 遺言執行者とは「相続財産の管理その他遺言の執行(遺言の内容を実現する行為)に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と民法で定められている者で(民法1012条)相続人の代理人とみなされます(民法1015条)

遺言者は遺言で特定の者を遺言執行者として指定したり、第三者に指定を委託することができます。 (民法1006条)

遺言者が遺言の内容を実行することを確実にしたい場合や遺言の内容を実行する際に必要な場合等に指定します。

「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」(民法1013条)と定められています。

よって、遺言執行者が選任・就任している場合に遺言執行者の同意を得ずに相続人が遺産を処分することは絶対的に無効であるとされます。
(大審院昭和5年6月16日判決)

遺言執行者の同意が無い場合、相続人全員の同意がある場合の遺産分割協議の有効性について考えます。

民法の条文に照らして考えると、同協議は無効のように思われます。

しかし、私的自治の原則の観点から、遺言によって取得した財産を相続人間で贈与したり交換したりすることを禁止することはできません

遺言執行者の同意を得ずになされた相続人全員の合意がある処分行為を有効とする下級審の判例があります。(平成13年6月28日東京地裁判決)

無効であるとする説もあります。

一般的には遺言執行者の同意又は承諾を得て、遺言内容と異なる遺産分割協議の実行を行っている例が多いようです。

遺言書に「相続人以外の第3者」に遺贈する内容がある場合、その第3者(受遺者)の同意がなければ、例え 遺言執行者の同意があっても、相続人全員で遺産全部の分割について合意した内容は有効とはなりません。

           

3、

遺言の内容が相続人以外の第3者に遺産を与えない内容であり、遺言執行者の指定も無い場合

           

本質問Q&Aの事例の場合、相続人全員(B子、A,C子)が合意すれば遺言の内容と異なる分割協議は有効であると考えられています。

しかし、相続人のうち一人でも反対があり合意できない場合は協議自体が有効でないのでできません。

例えば、遺言の内容に係わらず、B子さんが1/2、Aさんが1/4、C子さんが1/4という遺言と異なる遺産分割も全員の合意があれば可能となります。

また、相続人全員(B子、A,C子)が合意すれば遺言の内容と異なる分割協議は原則有効であると考えられています。

しかし、相続人のうち一人でも反対があり合意できない場合は協議自体が有効でないので遺言の内容と異なる分割はできません。

例えば、上記の遺言の内容に係わらず、B子さんが1/2、Aさんが1/4、C子さんが1/4という遺言と異なる遺産分割も全員の合意があれば可能となります。

           

遺言書で遺言執行者の指定が無い場合

           

遺言書で遺言執行者の指定されていないが、家庭裁判所で遺言執行者が選任された場合、選任される前に相続人が行った処分行為は有効です。
(昭和39年3月6日最高裁判決) 

           

遺産分割協議の意義や「遺産分割協議のこんなときどうする?」その他遺産分割について詳しく解説しています。
遺産分割」をご覧下さい。

遺言書の作成、どういうときに遺言書を作ればよいか、遺言の種類について、遺言の意義について「遺言」でわかりやすく説明しています。

遺言の内容等についてご不明の事項があれば、当事務所問い合わせまでご相談下さい。

           

相続とは

相続とは、亡くなった方(被相続人といいます)の財産や権利・義務について承継することです。

財産等を承継する人(相続人といいます)は、民法で定められています。

被相続人の一身に専属したものは相続財産に含まれません(民法896条)

相続において(場合によって)必要となる各種法律手続や用語については「相続手続」をご覧下さい。

相続の流れについては「相続の流れ」をご覧下さい。

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